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インターナショナルスクールの魅力は英語以外の英才教育にある

英語の先生

はたして英才教育は英語保育に取り入れられるのか?

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【インターナショナル幼稚園編 STORY 07】

お読みいただく前に…

これは30年以上前の話です。社会情勢や法律など、現代と大きく異なっています。今では考えられない出来事もありますが、そんな時代もあったのかと広い心でご覧いただければ幸いです。

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英語保育だけでも大変なのに 英才教育も取り入れる?

他園の先生とつきあいを広げる理事長。彼の考える秘策とは?

 メディアへの露出が増えた理事長。注目されていることに気を良くしていたのでしょう。他園の園長先生も我が園に興味津々で、あちこちからお呼びがかかっていたものです。保育業界でのおつきあいも徐々に広がり、職員室で見かけることも減りました。

 園の方針を語るだけなら良かったのですが、もともと好奇心旺盛な理事長ですから、交流を深めるだけで済むはずはありません。あちこちの園長先生とお話しするなかで、理事長は従来の保育方針を大きく変えていこうとするのです。

インターナショナル幼稚園に英才教育は必要か

 理事長が目をつけたのは、英才教育で有名な幼稚園でした。そこでは年少時から漢字や四字熟語のフラッシュカードを取り入れています。そろばんも導入し、卒園までに四則計算も習得させる方針です。一年を通して寒風摩擦、朝はランニングと体力づくりにも力を入れていました。年長児は全員、跳び箱8段をクリアしていたといいます。

 英才教育に興味がない私でも、歴史と伝統の中で培われた方針は素晴らしいと思いました。子どもの能力は幼い頃の保育で大きく変わると目の当たりにしたのです。しかし、当園の売りは英語の保育。決して英才教育ではありません。幼いから英語に触れ、バイリンガルキッズを育てることが目的だったはず。にもかかわらず、理事長は英才教育にも目移りし、保育に取り入れようと提案してくるのです。

 一般的な日本の保育すら受け入れられない外国人先生。そのため独自の方針を模索しながら、日々の保育を進めている状況で、英才教育に取り組む余裕などありません。園児たちもようやく英語に慣れてきた矢先、漢字や四字熟語、計算まで取り入れる必要があるのでしょうか。そんな提案を受け入れれば、園児はもちろん、外国人先生も混乱するばかりです。取り入れるなら来年度からにすべきだと必死で説得するも、聞く耳を持つ理事長ではありませんでした。

保護者の希望は英語教育。国語や算数を取り入れるのは誰のため?

 理事長に意見を言えるのはアダム園長しかいません。既に理事長から相談されているかと思いきや、アダム園長も寝耳に水だったようで、私と同様、英才教育には断固として反対していました。そこから理事長とアダム園長の話し合いがスタートします。「保護者が強く望むのは英語教育」「英語の成果が出るのも何年か先」「この現状で国語や算数を取り入れる意味はない」「何がしたいのかわからない」「外国人先生に理解を求めるのは不可能に近い」といつになく激しい口調で理事長に意見するアダム園長。賛成しているのは理事長だけというにもかかわらず、全く反対意見を聞き入れません。解決の糸口すら見えず、時間は過ぎていくばかり。最終的には理事長の独断で、英才教育を取り入れることになりました。

英才教育をリードするのは誰? 1泊2日の保育研修会

 英才教育を取り入れるとなれば、進めていく人材が必要です。誰かを新たに迎え入れるか、理事長が率先して動くかの2択と思っていましたが、その気配はいっこうにありません。師走を迎えたある日、私は理事長に呼び出され「来週末に某幼稚園の保育研修がある。既に申し込みを済ませ、研修費も払っている。そこで学んだことを保育で実践するように」と告げられました。英才教育の導入についてかなり強く反対していたため、まさか私に任されるとは思っていません。固辞するも認められず、休日を返上して研修を受けることになりました。

 某寺院で開催された保育研修会。全国の若い先生が集まります。たった1人で参加しているのは私だけ、他の先生は全てグループでした。1日目は午前9時開始。座学を終えると昼食を挟んで実技です。保育者役と園児役に分かれ、グループで実践していきます。夕方からはビデオで実際に保育している様子を視聴。午後7時までビッチリ予定が組まれていました。本来人見知りで、グループで参加している先生の輪の中に入ることができません。夕食を済ませてすぐ自室に戻り、研修レポートをまとめたのでした。

 翌朝は5時半起床。坐禅からのスタートです。運動機能を高める理論と指導法を学習し、体育の実技。昼食後も座学と実習だったと思います。最後に2日間の学びを振り返り、ようやく解放。帰宅後、レポートを仕上げるという仕事が待ち受けていたのは言うまでもありません。

続く

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「英検2級の実力しかない私が、20年以上英語教育に携わってきた話」は主人公である高山杏の体験をもとにしたフィクションです。実在の人物、設定は架空のものです

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