ストレスが溜まると、私たちの身体や精神に悪影響を及ぼします。しかし、その逆もまた真です。 精神衛生を改善すれば、ストレスレベルが自然と低下 します。適切な手段を選べば、仕事のパフォーマンス向上や、より良い人間関係、さらには健康寿命の延長までが可能になるのです。
自分のストレスを理解する
ストレス(Stress)とは、心や体に対するプレッシャーや緊張のことを指します。厳しい仕事の環境、プロジェクトの期限、または対人関係のトラブルなど、ビジネスマンにとっては避けられない日常の一部かもしれません。
しかし、大切なことはストレスが常に悪いものではないということです。一定のストレスは、私たちが新たな課題に取り組む際のエネルギーを供給し、私たちを動機づけます。問題は、このストレスが過度になり、私たちの身体や心に悪影響を及ぼすようになったときです。
日常生活におけるストレスマネージメント
あなたの生活習慣を見直し、ストレスマネージメント(Stress Management)に効果的な方法を取り入れてみましょう。
運動: 適度な運動はストレスを軽減するのに役立ちます。運動はエンドルフィン(Endorphins)と呼ばれる、自然な気分を高揚させる化学物質を放出します。これにより、気分をリフレッシュし、リラックスすることができます。
バランスの良い食事: 食事は心と体の健康に大いに影響を与えます。ビタミンB群やオメガ-3脂肪酸など、ストレスに対抗する栄養素を含む食事を摂ることが重要です。
良質な睡眠: 睡眠はストレスの軽減と精神衛生の維持にとって重要です。質の良い睡眠は、日々のストレスを解消し、翌日へのエネルギーを充電します。睡眠の質を向上させるためには、適切な睡眠環境の確保や、定時就寝・起床を習慣づけるなどの工夫が必要です。
精神的な手法によるストレスマネージメント
物理的な対策だけでなく、精神的な手法もストレスの発散に非常に有効です。
マインドフルネス(Mindfulness): マインドフルネスとは、現在の瞬間に意識を集中することです。これは、思考や感情から離れて、自分自身と環境に存在することに専念する瞑想の一形態です。マインドフルネスは、ストレスレベルを減少させ、心の平静を回復するのに役立ちます。
自己肯定的な思考(Positive Thinking): 肯定的な思考は、ストレスのレベルを低下させるだけでなく、心身の健康を高めることが示されています。常に肯定的な視点を保つことで、日々の困難を乗り越えるための新たな視角を得ることができます。
プロフェッショナルな支援を利用する
最後に、プロの助けを借りることも適切な時期と状況で重要な選択肢となり得ます。
心理カウンセリング(Psychological Counseling): ストレスが過度になり、日常生活に影響を与えている場合、プロの心理カウンセラーや心理療法士と話すことを検討してみてください。彼らはあなたが現在の状況を理解し、新たなストレスマネージメントの手段を提供することができます。
仕事のストレスは避けられないかもしれませんが、その取り扱い方を学ぶことで、より健康的で充実した生活が可能です。適切なストレスマネージメントはあなたのパフォーマンスを向上させ、自身の健康と幸せを保つ鍵となります。それぞれの人が異なるため、最も効果的な方法を見つけるためには、これらの提案を試し、あなた自身に最適なものを見つけることが必要です。
今すぐにでも始めてみてください。あなた自身の精神衛生のための積極的な一歩を踏み出すことで、仕事だけでなく人生全般のクオリティを向上させることができます。
ストレス解消方法は性格で異なる?
本章では、性格別にストレスの溜まる原因と解決方法について考えます。繊細さん関連の本が売れていますが、世の中には繊細さんだけでなく、いろんなタイプの人がいます。そんな性格別にストレスについて考えます。
真面目で責任感のある「誠実さん」
任せておけば大丈夫の誠実さん
何事においても計画的に物事を進める誠実さん。責任感が強く、真面目な態度で仕事取り組んでいます。あの人に任せておけば大丈夫、と他人からも厚い信頼を寄せられています。誠実さんは、他人だけでなく、自分に対しても誠実である(嘘がつけない)ことから、少々、無理な目標でも、一度決めたら達成するまで力を注ごうとします。
成功しか信じずにまっすぐゆくタイプ
ただ、成功か、失敗かというギャンブル的な二者択一ではなく、成功しか考えないタイプと言った方がいいかもしれません。また、人から見れば、規律的過ぎ、少々お堅く感じられることもあるかもしれません。誠実さんは、目標に向かっているときは、生き生きとしており、とても能動的です。落ち込むことはあるの?とさえ見えます。目標に対して計画的で努力を惜しまない人なので、めったに失敗することはありません。しかし、誠実さんは、決めた目標に届かなかったときは、かなり落ち込みます。
失敗でためていたストレスが一気に吹き出す
誠実さんは、いつも前進しています。目標に向けて次々と手を打つので、一見、ストレスとは無縁のようですが、実は、小さなストレスは抱えています。別のやり方はなかったかな?もっと効率的な方法は?など、本当はスルーできないけれどもスルーしている部分にいわば「誠実ストレス」と抱えているのです。誠実ストレスは、前向きなエネルギーなので、ある意味「次に生かそう」というエネルギーに変わるのですが、問題は目標がクリアできなかった時です。
軌道修正や立ち止まる勇気をもとう
誠実さんは、目標や思ったことができなかった時に、全責任を自分で負おうとします。この時の誠実さんは周りが見えていません。そんな時こそ、人からのアドバイスを素直に受けることが誠実さんのすべきことです。
また、そうなる前に注意すべき点は、計画の見通しが悪くなったら、軌道修正することもありだと考えられる柔軟性です。でなければ、修正するたびに小さなストレスが心の中に広がり、やがて、とりかえしがつかなくなります。「嫌だな」と感じたら、それは黄色信号です。乾坤一擲の打開策だけで乗り切ろうとせず、別視点の副案も選択肢だと考える心の余裕をもって事にあたることを心がけましょう。
外に向けてパワーを発揮する「快活さん」
柔軟に対応できる好奇心旺盛な人
快活さんの特長は興味や関心ごとが常に外に向かっていることです。興味のあることに対しては物怖じすることがなく、積極的。また、人に対しても関心が高いので社交性が高く、明るく接することができます。組織の中では管理職や営業職に向いており、多くの人と接することでさらに能力が高くなってゆきます。環境が変わっても柔軟に対応できるだけでなく、その中でも力が発揮できるタイプと言えるでしょう。
チームプレーは好きだが、単調なことが苦手
一方で、単調なことや一つのことを追求するのが少々苦手。また、自分に対して関心がやや低め。チームプレーは得意としますが、もくもくと努力を積み上げて一人で成果を出すようなことは好みません。自分が関心のないことには、目が行きにくいので、人によってはケアレスミスが目立つかもしれません。また、自分の考えや行動が、人に受け入れられないときにストレスが溜まる傾向にあります。
ストレスに気づきにくいタイプ
人が好きな快活さんは、見た目にバイタリティにあふれ、ストレスとは無縁のように見えますが、そこに落とし穴があります。期待外れのことが起こったり、人から無視されたりすると、急降下のような落ち込みを見せることがあります。素直にその気持ちのまま沈み込めればいいのですが、快活さんの多くは人前では、いつものように振舞おうと取り繕います。本心と違った行動をしてしまうことで大きなストレスを溜めてしまうのです。
たまには自分にも関心を持って
自分の興味のあることに力を尽くすのは、他人からすれば一見、わがままで恐れ知らずにも見えますが、実は自分自身に対して関心が低い表れでもあるのです。心や体に変調があっても休まないので、突然、ポキリと折れてしまうことがあるのでその点は要注意です。
仕事を一生懸命しているのなら、その分、遊びも大いにしてください。それが、快活さんのバランスの取り方。どちらかに偏らないようにするのが、ストレスを溜めにくくするコツです。
何事もおろそかにしない「丁寧さん」
礼儀正しく、人から信頼される人
人には礼儀正しく応対し、何事もそつなくこなす、丁寧さん。仕事をするときは、タスクの一つひとつをしっかりと、確実にクリアしていきます。他の人ならついつい大雑把にしてしまうことも、丁寧さんは几帳面に行うため、エラーやミスが出ることは滅多にありません。どんな物事も決しておろそかにしない細やかさは、多くの人に信頼されていることでしょう。
なかなか人には真似できない入念さや、誰もが見落としがちな点に気がつく鋭敏さ。そんな丁寧さんの姿勢に並々ならぬ潔癖さを感じ、驚異の念を抱く人もいます。
一方で、丁寧さんのことを心配している人もいるかもしれません。遠目に見守りながら、「肩の力を抜いても大丈夫だよ」と……。
きちんとしているのに、上手くいかないときがある
一生懸命やっているのに、今ひとつ手応えがない。そんな空回り感に悩んでいませんか? 人に愛想よくしているのに、あまり好かれていない気がする。そんな不安が胸をよぎっていませんか? 丁寧に行動すればするほどしんどくなっているときは、自分の丁寧さが引き起こすストレス「丁寧ストレス」がたまっているといえるでしょう。
丁寧さは決して悪いことではありません。物事をスムースに進めるための潤滑油のような効果があります。ただし、丁寧さにとらわれると、本当に大切なことを見失いがちになってしまいます。
細部にこだわり、本質からずれてしまう
仕事をする際、細部にこだわり過ぎると業務の進行が滞ります。優先すべき事柄が後回しになれば、結果的に業務全体のクオリティーが落ちてしまいます。丁寧さんは「木を見て森を見ず」で、本来の実力を発揮できない場合が多いのです。
また、丁寧さは、他人の気を重くさせることもあります。丁寧さんにとっては自然な行動も、周りの人にはそうではないかもしれません。法事のお坊さんの厳粛さにつられて、一同足を崩せず痺れを来たす……。これは例え話ですが、必要以上に丁寧な言動は人を萎縮させ、場の雰囲気を重苦しくしてしまうものです。
でも、丁寧さが、仕事の妨げや、人との間の壁になってしまうことに、丁寧さん自身も気づいているのではないでしょうか。気づいているからこそ、ストレスを感じているのでしょう。そんな丁寧さんへ、心の負荷を和らげるために役立つトピックをご紹介します。
あえてアバウトに、楽なほうへ流れてみる
自分の丁寧さに疲れている人は、「アバウトになりたい」と心のどこかで思っているのではないでしょうか。他人の大雑把さに腹が立つのも、実は、その人のアバウトさが羨ましいからでは?
丁寧さんのストレス解消で大事なのは、「アバウトでもいいんだ」と楽な気持ちになれること。肩の力を抜いて長い目で物事を見られるような、良い意味での脱力感に慣れていくことから始めてみましょう。
人に安心感を与える「温厚さん」
そこにいるだけで安心できる人
いつのときも穏やかで、誰に対しても優しい温厚さん。相手のことを理解し、受け入れようとする、深い思いやりの持ち主です。分け隔てなく人に接する心の広さから、多くの人に親しまれています。温厚さんがいるだけで、周りの人は安心し、職場もあたたかな雰囲気になることでしょう。温厚さんが感情を高ぶらせることは滅多にありません。攻撃的な言動を取る人がいても、憎しみではなく思いやりをもって対応し、赦そうとするからです。温厚さんは相手のいいところを見つける達人ともいえます。
どんな人にも優しいが、人との距離をとれない
包容力にあふれた温厚さんのことを、「仏のようだ」と称える人もいるでしょう。ただ、温厚さんも神様ではありません。あくまでも人間です。ふところが深いとはいえ、ドラえもんの4次元ポケットのように無限大ではないのです。「仕事を手伝ってほしい」と頼まれて引き受け過ぎてしまったり、人柄の良さにつけ込まれて心ない言動を投げかけられたりすれば、温厚さんの心も疲弊します。心優しいあまり、しんどいときでも、自分を頼ってくる人になかなか距離を置くことができない……。その結果、人知れず「温厚ストレス」をためてしまうことになりがちです。
時には、大声を出してストレス発散を!
温厚ストレスの解消には、発散モードをおすすめします。普段抑えている怒りなどの攻撃的な感情を爆発させて、すっきりしてみませんか。「とんでもない」という温厚さんもいるかもしれません。「怒ってなんかいないし、怒りたくないよ」と。本当にそうでしょうか。
温厚さんは、怒ることのデメリットを知っている人です。さらにいえば、怒りを人にぶつけることの愚かさを知り抜いている人です。怒ることでメリットはないと思っているから、怒らない。でもそれは、怒りの感情に敏感だからこその姿勢ではないでしょうか。温厚さんは、怒りが形になることを避けているとも言えます。
ストレスのたまり方は性格で異なる
世は人の数だけ性格があります。真面目な人、面白い人、おおらかな人、細かな人・・・。どのような性格でも、それが人にとって受け入れられるなら、性格美人といわれることでしょう。でも、働き方や性格によって、ストレスの感じ方は異なります。本原稿はストレスを少しでも和らげたい方に向けて、ストレスの根本的なことや、性格別のストレス対処方法について説明しています。
ストレスフリーとはストレスが全くない状態のこと
ストレスフリーとは、ストレスが全くない状態のことです。そもそもストレスとは、何らかの刺激を外部から受けて緊張状態にあること。
ストレスの原因は、騒音や匂い、暑さ、寒さの天候などの環境的なこともあれば、仕事や病気など身体的なこと、悩みや不安など、心理的なこともあります。
現代社会で上記のような刺激を避けて生きてゆくのは容易ではなく、ストレスフリーの状態で過ごすのは簡単ではないといえます。
しかし、自分で避けることができる刺激もあるし、ストレスを解消する方法もあります。
人はどんなときにストレスを感じるのか?
マイボイスコムのストレス調査によると以下のことが結果として浮かび上がっています。
■ストレスを感じている人は全体の7割弱、女性10~30代でやや高い。ストレス耐性があると思う人は全体の6割弱、60・70代での比率が高く、30代で低い。ストレスの発散・解消ができている人は40%強。
■ストレスを感じる状況は「仕事内容・労働環境など」が40%弱、「金銭面」「職場の人間関係」「病気やケガ、健康・体力面」「将来への不安」が各20%台。仕事関係は男性30~50代、「日常の家事」「やりたくないこと・負担に感じること」などは女性での比率が高い傾向。60・70代では「病気がケガ、健康・体力面」が1位。
■ストレスを感じた時の身体症状は「いらいらしやすくなる」が40%弱、「気力がなくなる、元気がなくなる」「眠れない・眠りが浅い」「胃痛、胃もたれ」が各20%強。
■ストレスへの対処法は「寝る」が30%弱、「好きなものを食べる」「お酒」「飲み物」「ボーっとする」「趣味に集中・没頭」「ひとりで過ごす時間をつくる」などが各10%強~20%強。女性では「好きなものを食べる」などの比率が高い。
ストレスに関するアンケート調査(第7回)
ストレスがたまりすぎると体と心に影響がある
ストレスが溜まりすぎると心体に悪影響があると考えられています。自律神経の働きやホルモンバンスの乱れなどによって、免疫力の低下のほか、身体的にも症状の現れることがあります。神経性胃炎、過敏性腸症候群、吐き気、立ちくらみ、頭痛、不安、不眠症など、ストレスが原因となる場合があると考えられています。
まとめ
4つの性格を軸にストレスのたまるきっかけや解決方法を考えてみました。ストレスの解消方法は、いろいろあります。まず手をつけたいことは、ストレスの原因を解消することです。上司など、対人関係によるストレスは取り除けないと思われるかもしれませんが、自分が変化することで、ストレスから逃れられる場合があります。自分が没頭できることを見つけるのもストレス発散につながります。ストレスをできるだけ溜めずに性格美人を目指しましょう。