お代わり指数マックスのサバとは?
昭和40年代、子供の頃よく食べた魚はイワシとアジだ。イワシは干物が多く、アジは親戚のおじさんが釣ってきたものがほとんどだった。
自宅から車で3、40分ほどで瀬戸内に出るので釣り好きのおじさんたちは、よく行っていたのだろう。私も1度サビキに連れて行かれたことがある。
あまり気乗りしなかったのだが、潮の加減がよかったのだろう。面白いほど釣れて4、50匹は釣果があった。天ぷら、南蛮漬けで食べた記憶がある。
サバはイワシよりアジより偉大であった
イワシにしてもアジにしても食べる時に小骨が気になり、実はあまり好きではなかった。決して嫌いではなかったのだが、同じ青物の魚ならばサバにして欲しかった。
なぜならサバは考えれば考えるほど偉大な魚であるからだ。焼いてよし、煮てよし、締めてよしである。塩サバを焼いたものが食卓にのぼると、それだけでいったい何杯のごはんがお代わりできるだろうかと心踊った。
子供の頃の私のおかずの基準は、ご飯のお代わり数が全てであった。お代わり指数である。サバのお代わり指数は平時なら4−5、遊びすぎた時などは7くらいはあった。脂ののったサバなら気分的には10である。
塩サバにこそ、少量の醤油の香りを
塩サバとごはんについては、まずは、その身をほぐしてご飯にのせていただく。これをストレートと呼ぼう。次に大根おろしを添えたものを頬張る。
大根の辛味、塩味の見事なデュオだ。そして極め付けとして、大根おろしにポン酢、あるいはゆずの絞り汁と少量の醤油をたらす。
塩サバに醤油は邪道であろう。しかし、この反社会的な邪道という響きとともに、ミックスされた旨味が右脳も左脳も撃鉄必死に麻痺させるのである。
塩サバの油分でシメの一撃メシ
まったく、ごはんが進むにもほどがある。お腹パンパンなど関係ない。気がつけば、というか、幼心のひらめきだったが、サバをたいらげたあとの皿にわずかに残った魚脂に、醤油を加えてそこにご飯を押し付けて、とどめライクな一握のめしを口に入れる。お代わり指数10オーバーは間違いない。