会議の進行を仕切るファシリテーター
会議やミーティングで、潤滑油のような役割を果たすのが、ファシリテーターだ。組織内あるいは組織間の意見交換の場で、一人ひとりの発言を促し、問題を整理し、議論を実りあるものに導いていく。企業の一ポジションとしてばかりではなくフリーランスとしても、ファシリテーターは活躍しており、社会的な認知も広がりつつある。
話し合いをより良き方向へと促すのが、ファシリテーター
話し合いが進みやすくなるように場を取り仕切る人を、ファシリテーターという。平たくいうと会議の進行役だが、単なる司会ではない。
語源facilitateの意味は「促進する」。ファシリテーターは、会議の参加者一人ひとりから意見を引き出し、議論を活性化させる。と同時に、客観的な視点で冷静に意見をまとめ、話し合いが有意義となるよう議論を促していく。
そのような役割から、ファシリテーターが必要とされるのは、意見の交換や応酬が目的とされるブレスト(ブレインストーミング)やアイデア出しといった意識高めの会議であることが多い。
会議が盛り上がるためのお膳立てスキルを駆使する
プロフェッショナルがみんなそうであるように、ファシリテーターも技術を持っている。議論がネガティブにヒートアップしないように、否定的な意見や批判ばかりが飛び交わないように、会議をある程度コントロールしなければならない。
口数が少ない人の意見も聞くことで、場の多様性を守る。ホワイトボードを使って議論を図式化し、問題を見えやすくする。適宜、インターネットで参考資料を紹介する。
ポイントは、会議の目的と次回への見通しを、共有してもらうこと。あらかじめ話し合いの終着点を決めておけば議論の暴走を防げるし、今後の課題を確認しておけば次の話し合いにスムーズにつなげられる。
人や意見に偏りなく対応するバランス感覚が必要
ファシリテーターは、あくまでも場の引き立て役だ。一歩下がって人を立てる姿勢が基本になる。ただし、だからといって意見を言ってはならないわけではない。議論が進まなくなったり煮詰まったりと、状況次第では、積極的に発言をすることが必要な場合もある。自分が目立つためではなく、場の風通しを良くするためである。
一歩下がるというスタンスは、年齢や地位、派閥といった人間関係のしがらみから身を引いた立場で会議に臨むフラットな姿勢でもある。ファシリテーターは、どの人にも、どの意見にも、公平に対応しなければならない。会議の目的以外の不透明な目論見に沿った忖度行為から、自由であるべきだ。
話し合いの船頭を務めるファシリテーターには、人や意見に偏らず、組織の波にも呑まれない、バランス感覚が求められる。