怪演とは
驚きや意外性がありながらも魅力がある表現
怪演とは、一般の演技とは違い、不気味、奇妙、恐ろしいものを感じさせながらも魅力を感じさせる演技のこと。
サイエンス・フィクション(英語: Science Fiction、略語:SF、Sci-Fi、エスエフ)による特殊メークを施した演技も怪演と評されることがある。
朝日新聞デジタルで怪演を検索すると次のような記事がヒットする(2022年11月2日現在)
- (評・映画)「愛してる!」 魂解き放つ、「変態」の世界
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怪演と表現される役者は主演にしろ、脇役にしろ高い演技力のあることがわかる。また、俳優が演技の方向を変えた際にも怪演と評されることがある。アイドル路線で売っていた俳優、女優が、突然、悪役に挑む場合やシリアスな演技を得意としていた役者がコメディ作品に出演したときだ。
怪演は、演劇やドラマ全体を通じて評されることもあれば、劇中のワンシーンや表情のアップなどで怪演と評されることがある。
現実離れした表情や行動が怪演となる
演劇では、実際にはそんな表情をする人はいない、また、現実離れしすぎた行動を起こす人を演じることが頻繁にある。これは人のある一瞬をとらえてデフォルメする表現方法だといえる。
怪演とは、まさに非日常を演じられる能力の発揮といえよう。単純にオーバーなだけではない。表情や仕草にリアリティを追求したうえで、その延長にあり、日常ではみることのない演技、またはストーリー。
テレビから舞台へ、ドラマから映画へ活躍の場を変える
怪演とよく評される俳優には、コメディアンやコメディエンヌ出身者が少なくない。笑いと取るためのオーバーなアクションを集約した演技をするからだと考えられる。
日頃、人を腹の底から笑わせるような、奇抜な表情や言葉の強弱がシリアスな演技に成り代わると怪演になるのだ。漫才師やコメディアンが、普段の芸風とは全く異なるドラマや舞台、映画に出演した時に怪演といわれるのもそのためだ。
また、舞台を主にしている俳優がテレビドラマに出演したり、逆にテレビを舞台としている芸能人が舞台にでたり、活躍の場を変えることでも怪演といわれることがある。
日常の中で怪演を通じて自己を客観視する
怪演は、舞台や映画の出演者だけのものではない。むしろ、普通の人々が日常生活の中で用いることで思わぬ効果を発揮するものでもある。
目をむく、大声で笑う、オーバーなアクションをするなど、緊張する場面などで、あえてその場にあった役作りをするのだ。
役作りをすると自分自身を客観的にみることができ、また周囲の状況を落ち着いて把握することができる。
「日常怪演」自分の演技パターンをつくり、難題を乗り越える
何の準備もせずにいきなり怪演はできない。何か起こった際にとっさに自己表現できるように日頃から備えることが重要だ。怒る怪演、喜ぶ怪演、悩む怪演、悲しむ怪演など、喜怒哀楽を練習するのがよい。たとえ第三者がみて、怪演にならずとも、自己表現が豊かになることには違いない。
上司に注意を受けた際、部下を注意する際に怪演を使う
怪演は、インパクトをともなう、印象的な表現手法だ。逆にいえば、いつも怪演をしていると、それが普通になり、非日常ではなくなる。
ここぞという時に怪演を日常生活の中で取り入れることでより効果を発揮する。たとえば、理不尽な理由で上司から責められた時、ドラマ半沢直樹風に下から目線で威嚇するなどだ。目をそらさず、頭を下げるなど、普段から練習が必要だろう。
実際の役者をイメージしながら練習するのもいいだろう。部下を注意する際はいつもより声のトーンを落として、竹中直人や伊武雅刀風にするなどだ。