本原稿は、社会人として初めて部下を持つ方、あるいはプロジェクトのリーダーに抜擢された方を対象として、リーダーの行動について解説しています。もちろん、すでにリーダーとして仕事に取り組んでいる方にもおすすめします。特に以下のような方の問題点を解消できればと考えています。
- 部下が思うように働いてくれない
- チーム(課や部署)の成果が表れにくい
- 売上目標が達成できない
- 部内で裏リーダー(足を引っ張る)がいる
- 同じ社の他のチーム(課や部署)よりメンバーが悪い
- ライバルに差をつけられていると感じている
では最初にリーダーの定義について考えましょう
リーダーとは
リーダーの意味は指導者、先駆者、首領です。そして、リーダーシップとは指導者として資質、能力、力量、または、指導者の任務や地位を指します。
ビジネスの世界では、目的に対して目標を明らかにして、それを実現するために組織の人々の力を最大限に引き出し、目標達成に導く人のことです。
しかし、リーダーとは、あらゆるスキルが人より高く、チームでもっとも優れた能力を持っているとは限りません。また、リーダーシップとは先天的な資質ではなく、むしろ経験的に獲得するスキルで、誰もがリーダーとして活躍することができます。
実際の現場で必要なリーダーの能力とは
実際の現場でリーダーとして活躍するためには、いくつかの重要な能力が必要となります。まず、リーダーとして活躍するためには、他の人々がどのような意見を持っているかを理解し、他の人々のニーズを把握し、効率的な行動を起こせるようにする必要があります。
次に、リーダーとして活躍するためには、ビジョンや思想を持ち、他の人々を導くための目標を設定し、チームを統率する必要があります。組織やチームを指導し、目標を達成するための戦略を立案することが重要です。さらに、リーダーとして活躍するためには、他の人を励まし、動機付ける必要があります。
リーダーが現場で率先してやるべきことは
- ビジョンの達成: リーダーは、ビジョンを共有し、チームメンバーがそのビジョンに向かって努力するように支援することが大切です。
- チームのモチベーション: リーダーは、チームのモチベーションを高め、チームメンバーが最善を尽くすように支援することが大切です。
- チームのアイデア: リーダーは、チームのアイデアを尊重し、アイデアを取り入れるように支援することが大切です。
- 協力とコミュニケーション: リーダーは、協力とコミュニケーションを促進することが大切です。これにより、チームメンバーは協力して問題を解決することができます。
- 難しい問題の解決: リーダーは、難しい問題に直面するときに率先して解決することが大切です。
これらを率先して行うリーダーは、チームのパフォーマンスを向上させ、チームのモチベーションを高めることができます。
リーダーが現場で守るべきことは
リーダーが現場で守るべきことは以下の通りです。
- チームメンバーのモラルと信頼: リーダーは、チームメンバーを信頼し、彼らのモラルや価値観を尊重することが大切です。
- 企業文化: リーダーは、企業文化を守り、その文化に基づいた行動を促進することが大切です。
- 適切なコミュニケーション: リーダーは、適切なコミュニケーションを通じてチームメンバーと関係を構築することが大切です。
- 正確な情報の提供: リーダーは、正確な情報を提供することが大切です。これにより、チームメンバーは適切な行動をとることができます。
- 公平性: リーダーは、公平な評価とトラットメントを提供することが大切です。
これらのことができるリーダーは、信頼され、リスペクトされ、評価されることが多いです。
リーダーが現場でしてはいけないことは
リーダーが現場でしてはいけないことは以下の通りです。
- 偏向的な判断: リーダーは、公正な判断をすることが大切です。偏向的な判断は、チームの信頼を損なうことがあります。
- チームメンバーを軽視: リーダーは、チームメンバーを尊重することが大切です。チームメンバーを軽視することは、チームのモチベーションを低下させることがあります。
- 報酬や罰則を不公平に行う: リーダーは、報酬や罰則を公正に行うことが大切です。不公平な報酬や罰則は、チームのモチベーションを低下させることがあります。
- チームメンバーを偏向的に扱う: リーダーは、全てのチームメンバーを平等に扱うことが大切です。偏向的な扱いは、チームの信頼を損なうことがあります。
- 意見を聞かない: リーダーは、チームメンバーの意見を尊重することが大切です。意見を聞かないことは、チームメンバーの意欲を低下させることがあります。
これらをしてはいけないリーダーは、チームのパフォーマンスを低下させ、チームのモチベーションを低下させることがあります。
リーダーの本質とは
- ビジョンを持っていること: リーダーは未来を見据え、チームや組織のミッション・ビジョンを明確にすることが重要です。
- 説得力を持っていること: リーダーは自分の意見や考えを、他の人々にうまく説明し、信頼を得ることができることが求められます。
- 決断力を持っていること: リーダーは状況に応じて適切な決断を下すことができ、責任を持って行動することが求められます。
- チームプレーヤーとしての能力: リーダーはチームメンバーと協力し、一緒に問題を解決することができることが大切です。
- コミュニケーション能力: リーダーは聞き上手で、他の人の意見を尊重し、意見を交換することができることが重要です。
これらはリーダーシップの本質として挙げられる一般的な特徴ですが、個人差や状況によっては異なる特徴もあります。
リーダーがプロジェクトを進行するときに必要なスキルとは
リーダーはメンバーや組織のタイプにかかわらず物事を進めて行くスキルが求められます。それらは4つのプロセスで分類できます。
- 客観的な判断力で事象を捉えること
- 目的に応じた目標設定と計画の立案
- メンバー相互のコミュニケーションを図る
- 課題を解消し最適化して活動をする
客観的な判断力で事象を捉えること
客観的な判断とはまさに松下幸之助の言葉の中に出てきています。「感情や、自分の利害にとらわれてものごとを都合のいいように見てしまう。そうなると、真実と離れた姿しか見られない。」これはメンバーだけの話ではなく、目標発見や活動そのものに対してもいえることです。
リーダーになったのに上長から言われることをそのまま伝書鳩のように部下に命令していることはありませんか?「部長の指示はこうだから従ってくれ」というように主体性をなくした態度を取っていないのでしょうか。これでは部下の信頼を得ることはできませんし、事なかれ主義といわれてリーダーシップを発揮することはできないでしょう。
大切なことは、客観的にみて、それをどのように判断するのか、自分の視点を閉ざすことなく考え抜く能力です。つまり客観的な立場から主体性を持ち判断することといえます。
ある会社での効率化推進の話
その会社は受注して製品をつくることを生業としています。受注生産で急な仕様変更やスケジュールの変更が常であり、顧客とのメールのやりとりに多大な時間を費やしていました。メールのやり取りは半ば習慣化していることがあり、多くのスタッフはそれを疑問に感じることなく日々のルーチンとして対応していたのです。
しかし、あるリーダーがこの当たり前の業務を簡略化することはできるのではないか?とメンバーに提案したのです。メールフォームの見直しややりとりの簡素化などによりメール業務を劇的に改善し、メンバーがメールのために費やしていた時間を1日あたり50分も削減したのです。
問題として気づかいないことが業務の中には往々にしてあります。そうしたことに気づく客観性、そしてそれを提案する主体性がリーダーには必要です。
目的に応じた目標設定と計画の立案
リーダーは目標とそれを実行するための計画を立てるスキルがなければなりません。世間には、目標数字を部下に伝えて、あとは知らぬ存ぜぬという人がいるかもしれません。しかし、リーダーは少なくとも具体的な仕事を指示する必要があります。
例えば、営業職で新規獲得20件とするなら、20件獲得するための方策を提示しなければなりません。見顧客リスト作成、訪問回数、結果と評価など、それぞれの段階でアドバイスをしたり、モチベーションの維持を促したりします。
最近ではマーケティングセクションが見込み客のリードをとり、セールスセクションが実行するなど、役割が細分化されているケースがよくみられます。
製造現場でも同様に品質管理、生産管理などそれぞれの部門に応じた目標と計画の立案をします。リーダーとしてこうした素養を高めるには異業種で同じような立場にある人との交流がおすすめです。
営業と製造では全くすることは異なりますが、目標設定や実行においては、共通項目はあるはずです。そうした情報交換が仕事の幅を広げ、リーダーシップの醸成になります。
メンバー相互のコミュニケーションを図る
リーダーとしてのコミュニケーションスキルは、上司としてメンバーに接するだけでなくメンバー同士のコミュニケーションを促すスキルも必要です。いわばコミュニケーションによってメンバーの潜在的な力を引き出す、メンバーの力を合わせてできないことを実現するスキルです。
上司のコミュニケーションスキルは、成果をみんなが感じる場にすること
上司が部下とコミュニケーションを図るとは、メンバーの可能性を伸ばすことであり、その成果をみんなで分かち合える環境をつくることです。
課題を解消するためにチームを最適化して活動をする
上司の役割は目標を設定し、それに至るまでのギャップを解消することです。そのためにさまざまな課題を解消していかなければなりません。課題解消に向けて、もっとも効率的に働くようにチームを最適化することがリーダーに求められます。
そのためには課題の本質を理解し、解決策をメンバーに提示しなければなりません。
従業員の課題にフォーカスせず、全体問題の視点を持つ
従業員が5人程度の小さな会社の話です。その会社は社長が新規開拓を1人で行い、新規開拓した後は、従業員がその顧客を引き受けるというスタイルでした。長年、その方法を続けていたのですが売上の向上はなりませんでした。従業員が顧客をロストするからです。
そこで社長は、新規開拓の方法を全従業員に考えてもらうことにしたのです。ノルマを課すのではありません。毎週金曜日に新規開拓アイデア発表会を行いました。新規開拓ができないのではなく、そもそも従業員には、その意識がなかったからです。課題の本質はそこにあったのです。
それから間もなく全社的に新規開拓の機運が高まり、特にノルマを課したわけでもないのにさまざまな方策により社長以外の従業員が新規顧客を開拓するようになりました。
もし、この時社長が、課題解決の視点だけで見ていたらどうなっていたでしょうか。それぞれメンバーの欠点や課題をあげて、ダメなところをなくそうとしたかもしれません。
課題の本質は時として別の見え方をします。そうしたこともリーダーは考えなければなりません。
まとめ
リーダーが発揮すべきスキルは組織によって異なりますが、目標やメンバーに対する洞察力、そして物事を前に進める実行力、そしてメンバーの力を引き出す牽引力などは共通しています。
リーダーがすべきことはプロセスごとに決まっています。「客観的な判断力で事象を捉えること」「目的に応じた目標設定と計画の立案」「メンバー相互のコミュニケーションを図る」「課題を解消し最適化して活動をする」以上の4つです。
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