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【会議は問題解決の場】議題は事前に伝えるのが正しい組織

英検2級の実力しかない私が、20年以上英語教育に携わってきた話02
英検2級の実力しかない私が、20年以上英語教育に携わってきた話【インターナショナル幼稚園編 STORY 02】
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はじめに

日本と外国の文化や意識の違いは、相当なものです。いわゆる日本のなあなあ文化と商慣習の結びつきは外国人には理解できません。多くの日本人は英語の先生として保育園に勤務するとしても、多少は保育業務があっても仕方がないかな、と受け入れるのではないでしょうか。一方、契約が全てで、それ以外の業務は一切しないのが普通という国もあるのです。そんな期待と常識のせめぎ合いのお話です。

今回はシリーズ2回目です。

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インターナショナルスクールで日本人教諭は私1人

嵐のように過ぎ去った入園式

 入園式当日は絵に描いたような快晴でしたが、私を筆頭に、子どもも保護者も先生も緊張を隠し切れません。残念ながら肝心の入園式については、全くと言っていいほど覚えていないのです。来賓やメディアの方もいらっしゃっていたので、失敗できないと無我夢中だったのでしょう。記憶にないのは、つつがなく終わったからということにしておきます。

 気がつけば、写真撮影のため園庭に立っていました。式中から取材しておられた記者とカメラマンに注目されながら、入園記念写真の撮影も無事終了。外国人先生が取材に応じる隣で、保護者と園児を見送りました。メディアの方も帰り、ようやく会議かと思っていたら、昼食のために飲食店へ向かうとか。クラスの運営方法や日々の役割分担など決めるべきこと、すべきことは山のようにあります。カリキュラムさえ共有できていない状況に苛々しながら席につきました。食事後はまさかの現地解散。いったいいつになれば会議をするのかと腹立たしく思ったものです。そんな私の心中を察してくれたのはアダム園長。園長だけが頼みの綱でした。

待ちに待った会議は園長先生が主導

 園児が初登園するのは3日後です。アダム園長の助言もあり、待ちに待った職員会議は入園式の翌日に開催されることになりました。ここで保育の方針を共有し、役割を分担しなければなりません。外国人先生も日本人教諭の私もお互いの気持ちを伝え合えるほど十分な語学力は持ち合わせておらず、アダム園長の到着を待ちました。

 ようやく会議がスタート。どんどん話し合いが進みます。登園時の受け入れ方からトイレの使い方、園児の棚や靴箱の説明、教材の保管場所と利用方法、送迎バス添乗の順番など、1日の流れを中心に細かなことは決まったものの、保育の方針まで話す時間はありませんでした。初登園まで残された時間はあと2日です。

何も決まらない会議に焦るのは私だけ?

 2日目は、カリキュラムの説明です。一般的な日本の保育は、月案・週案・日案と細かに予定を立てますが、外国人先生には全く理解されず。大まかな1日の流れがわかれば十分だと言って譲りません。いくらインターナショナルスクールとはいえ、通園するのは日本の幼児。日本の保育の流れも汲んだ細かなスケジュールを立てるべきと、アダム園長も必死で説得しますが、外国人先生たちはなかなか耳を貸しません。

 最初に言葉を発したのは、ラフィでした。「日本の保育をするなんて契約時に聞いていなかった」と怒り心頭です。当時の私は知らなかったのですが、外国人は契約が全てなんですね。それを機にベスも海外の保育を真似るべきだと反対意見を述べ、もう会議どころではありません。日本に留学経験のあるトニーだけが、少し理解を示してくれましたが、結局話し合いは決裂し、簡単なタイムスケジュールを決めるだけに止まりました。こんな状態で保育できるのかと焦っているのは、私1人だったのかも知れません。

職員会議最終日。問題山積の船出

 いよいよ会議最終日。明日からは園児が登園してきます。保育者全員が同じ方向を向くことは可能なのでしょうか。お互いを理解し保育に望むことはできるのでしょうか。ちなみに田村理事長もアダム園長も保育の経験は皆無、幼児教育を学んだことさえないのです。この園で日本の保育を勉強したのは私1人。当の私も実際の現場は教育実習でしか知りません。右も左もわからない環境で、教えてくれる先輩もおらず、新卒で採用された私に何ができるのでしょう。まして同僚となる外国人先生とは意思の疎通もままならない状況です。

 大切なのは安全な環境を整えること、個人に応じた適切な保育を提供することです。新米の私でもそこは譲れません。私の意見をアダム園長が通訳しますが、簡単に納得してくれるはずもなく……。アダム園長を介し、どれほど議論を闘わせたたでしょうか。方向性が定まる頃には、もう日が傾いていました。決定事項は、ごくごく簡単な日案と年齢別の目標。なんとか直近の1ヶ月を乗り越えられそうなくらいにはまとまりました。いよいよ明日からが本番です。

続く

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「英検2級の実力しかない私が、20年以上英語教育に携わってきた話」は主人公である高山杏の体験をもとにしたフィクションです。実在の人物、設定は架空のものです。

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