無欲力とは
無欲力というものをご存知だろうか。この力こそ日本人に一番必要な力だ。その根源は、周囲に踊らされず、本当に自分がすべきことに進むことだ。無欲力こそ最強といえる。
投資の用語で損切り、という言葉がある。意味は文字通りで、株や証券が購入時よりも価格が下がり、損失を抱えている状態の際に、投資家が損失の拡大を防ぐため、見切りをつけて売却することだ。
投資で考えれば分かりやすいが、我々は普段の生活で欲望の損切りができているだろうか。
欲望に負けない力が無欲力だ
例えば、街中にあるエスカレーター便利だ。しかし我々はエスカレーターができたことで、歩く歩数が、大幅に減少している。
昔の日本人は交通手段が限られていたため、よく歩いて、健康的であった。だが今は、自動車を使ったり、駅の近くなどであれば、ほとんど歩くことなく目的地にたどり着けてしまうことがほとんどだ。
楽をするという欲望を損切りせずに、健康を損切りしているようなものだ。
例えば、ポイントカード、クーポン。本来これらは、少しでも毎日の出費の手助けになるように、利用されるようになったのではなかったか。
今は、割引やお得さに釣られて、また、なにか別のものと比較して、よりお得なものを探すために、時間や心の余裕を失ってはいないか。お得感こそ損切りすべき欲望であろう。
例えば、欲しい物があった時。それはなぜ欲しいのだろう。ツイッターでバズっていたから? ティックトックやユーチューブででてくるから? 好きなアイドルが同じものを持っているから?
それは認知しなければ、欲しい物にはならなかったものではないか。欲しい物と必要なものは違う。
子供の感覚と同じなのだ。子供感覚は損切りするべし。
例えば、アニメや漫画。面白い。見たり読んでる最中、感動のシーンで家族に邪魔される。思わずきつく怒ってしまう。そのとき見ていたアニメや漫画の作者が描いているシーンは、家族のシーンだ。友情のシーンだ。人と人との関わり、コミュニケーションのシーンだ。あるいは、人と人との関わりが損なわれてしまったため、失われたもののシーンだ。なぜ、そうしたことをリアルに求めないのだろうか。
社会成長の不可逆性に挑む力でもある
多くのことが本末転倒になっている。まさに逆社会。われわれは幸せという最大の欲を無視して目先の欲にばかり気を取られている。
一度、鑑みるべきだ。一度、今ある欲のためにこれ以上、幸せが損なわれないよう、人生の損切りをすべきだ。そのために必要なものが、欲望にまみれた状態をリセットする「無欲力」だ。