はじめに
本原稿では、リスキリングを行う際の注意点として、仕組み化について説明しています。政府が推奨するリスキリングを予定する企業が今後増えると考えられます。しかし、従来の研修の延長では、スキルの定着が断続的になりがちです。そうならないためにリスキリングの仕組み化を進めましょう
企業は、リスキリングを仕組み化することが大事
リスキリングは、DX時代に備えるべき企業の新しい社員教育といえるものです。ここで考えなければならないのが、従来の社員教育の枠組みでリスキリングを捉えることです。DX推進はこれまでにない取り組みですからOJTが通用しません。
従来型の研修のように定型的、一律では、モチベーションを保つことができないと考えられます。なぜなら、DXは今後も変化することが考えられるからです。
そのために重要なことは、DXに関する原理原則を徹底するナレッジの共有と、各部門や役職、職域に応じて段階的にリスキリングが進む仕組み化が重要となります。
リスキリングの原型としてわかりやすいのは、武道などの昇段試験です。型があり、それを習得してゆく仕組みです。
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企業は社員のリスキリングのステップを構築する
まず最初に必要なことは企業が求める人材のスキルを棚卸しすることです。従来の業務をふまえてDX推進によって、必要なスキルを洗い出します。それらを明確にした上で、スキルの見える化を行います。その次は、リスキリングの機会づくりです。
企業内で必要なスキルを告知して、その取得に関して補助を出すのが理想的です。リスキリングでは、ステップ方式で学ぶ方法と選択的に必要に応じて学ぶ方法を構築し、社員の役職や職域に応じて選べるようにします。
企業はピラミッド型の組織形態が多く、まだ年功序列が残っているため中高年の仕事がない、社内失業の状態が発生しています。この層に対しては、リスキリングは特に手厚く実施するようにしましょう。
会社内で中高年のスキルアップが高止まりしている企業は、個人の就業機会を減少させ、社会的な損失を出していると考えられるからです。
社員の成長を会社の成長にオーバーラップさせる
リスキリングを通じて社内を活性化させるには、ピラミッド型の組織であっても、社内ベンチャーや現代版の暖簾分けであるカーブアウト、部門独立のスピンオフや別会社の設立を支援するスピンアウトなどの形成も考慮します。
企業が持つ理念や方針を核として継承するなら、働きやすい職場作りに行かせると同時にリスキリングを継続する仕組みにもなります。
おわりに〜人の成長機会をつくることで社会貢献を果たす〜
剣道の世界では「守・破・離」という言葉があります。最初は教えを守り、スキルを高め、次には、その教えを突破して新しい境地を見出します。
最後の「離」を会社で例えるなら、社員の自主性による新規事業のスタートや新しいマーケットに開拓です。リスキリングの取り組みは、これからの企業活動を活性化証します。それは社会発展にも寄与することになります。