初心者が無理なく速読を習得する方法とは
速読は、すばやい情報収集に欠かせないスキルです。しかし、いろんなメソッドが提唱されていたり、説明の意味がよくわからなかったりと、興味はありつつも手を出しづらいという方も少なくないかと思います。
そもそも速読の本質とは、速く文字を追い、速く読破することではありません。「読む」というのは、文章の意味をきちんと捉えること。つまり、私たちが何気なくしている「文章を理解する」という一連の流れをスピードアップさせたものなのです。速読で知識を増やし、情報通になればあなたに対する周囲の評価も上がるでしょう。
本記事では、初心者の方でも無理なくできる速読トレーニング方法をご紹介します。
読む前に、文章の内容をイメージする
速読初心者のうちは、自分の興味のある文章を読むのがおすすめです。本でも新聞でもブログでも、難しい内容を選ぶ必要もありません。どういうことか、次で説明していきます。
文字を読むのが苦手な方に多いのが、文字を追っても内容が頭に入ってこないという悩みです。文字を読むことに苦手意識がなくても、内容に集中できないのはそう珍しいことではありません。人にはそれぞれ、得意な文章と苦手な文章があるからです。それでは、得意な文章と苦手な文章にはどんな差があるのでしょうか。何も考えずに、次の文章に目を通してみてください。
意思表示は、表意者がその真意ではないことを知ってしたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。ただし、相手方がその意思表示が表意者の真意ではないことを知り、又は知ることができたときは、その意思表示は、無効とする。
民法第93条1項本文
この文章は110字程度の短文ですが、特に得意不得意があらわれやすい文章だと思います。何の苦もなく読み進め、内容も十分に理解できた方は、以下の項目に該当しているのではないでしょうか。
- 内容を知っていた
- 興味や関心があった
- 予備知識があった
逆に、読む気が進まなかったり、理解するまで時間がかかったりという方は、これにあまり当てはまっていないかもしれません。
これをテストに例えてみます。自分の予想を答案用紙としたら、文章から得られる情報は模範解答。知っているものは答え合わせしていくだけなので、すばやく対応できますよね。一方で知らないものであれば、回答時に答案を埋めることすらできません。だから、答え合わせをしても、「どこが間違っているのかわからない……」と時間がかかったり、「全部空白だから0点」と投げ出してしまったりするのです。このように、知っているとスムーズに行動できるのは、頭で展開を予想することができるからなのです。
このように得意な文章・苦手な文章は、脳内イメージを描けるかどうかで決まります。本や新聞に限った話ではなく、ネットニュースやブログ記事などの比較的短い文章にも当てはまります。だからこそ、速読初心者は興味のある文章を読んで、わかるという感覚を養うことが大事なのです。
とはいえ、難しい内容も理解してこそ自己研鑽。「この文章、よくわからないな」と思ったらいきなり本文を読むのではなく、タイトルや見出し、目次を読んで、だいたいどんな内容かイメージするところからはじめましょう。書籍ならあらすじやレビュー、要約サイトに目を通してもかまいません。とにかく、脳内イメージを描いてから読むことが大事です。
文章の情報を処理するため、スピードに慣れる
速く読むようになりたければ、YouTubeを2倍速で見るようにしてみてください。「速読なのにYouTube?」と疑問に思われるかもしれませんが、これには脳の特性に基づいた理由があります。
速いものを見た後に見たものは、元の速度よりもゆっくり感じる気がしませんか? これは、脳がその速さに適応しようとしたという証拠です。このように脳には、外部の環境変化にも柔軟に対応しようとする性質があります。さらに、脳は1つの能力が向上すると、関連する能力も呼応して高まる仕組みになっているのです。つまり、速く見る力が鍛えられると、同時に理解力や記憶力、集中力なども身につくということです。
こうした脳の特性を活用すれば、速く読めるようになるのも夢ではありません。その中でもYouTubeの2倍速視聴をおすすめするのは、スピードに慣れることで、情報を速く理解する能力を鍛えるためです。すばやい情報処理ができるようになれば、自ずと速読に必要な力が身につきますよ。
文面を見渡す「広い視野を保つ」という感覚を養う
速読でよくいわれるのが、広い視野を持つことが大事ということ。私たちは普段から、無意識のうちに、広い視野で文章を理解しながら生活しています。居酒屋に行くと上の画像のように、壁にお品書きがかけられているのを見かけますよね。1つずつ順番に読んでいかなくても、パッと見でどんなメニューがあるのかわかると思います。
それが本になると「きちんと理解しなければならない」という意識が働くため、読む速度が落ちてしまうのです。内容を理解するために視野を狭め、1つひとつの文章を噛み砕くというのは、一般的な読書法としては決して誤りではありません。しかし、速読にとって大切なのは、文章全体のメッセージを掴むことなのです。「木を見て森を見ず」では単なる読書に変わりないと心得ておきましょう。
それを実践するのにおすすめなのが、冒頭で述べたように、文字サイズを大きくして、一度に目に入る文字数を減らす方法なのです。次のような設定で試してみてください。
- Kindleでは文字サイズを最大にする
- インターネット上の文章を読むときは、Wordを使って文字を大きくする
1.Wordで新規作成をクリックし、ページの表示を「150%」に変更する。
2.ニュースサイトやブログの記事を、Wordに貼り付ける。
3.貼り付けた文章を全選択し、文字の大きさを「28pt」に設定する。 - PCやスマホを使うときは、プロジェクターやテレビなどの大きな画面に接続する。
文字が大きいので広い視野を保ったまま読み進めることができると思います。文章のメッセージを掴むという感覚がわかってきたら、少しずつ従来のサイズに戻していくと、広い視野を維持するという感覚が次第に身につきます。
まとめ
- スイスイと読み進めるのに大事なのは、文章の内容をイメージすること。そのためにはまず、興味のある分野の文章を読むように心がけてみる。
- すばやい情報処理に慣れれば、速読スキルは自然と身につく。普段から情報を取り込むスピードをアップすることで、速読に必要な力を伸ばそう。
- 文章を拾い読みして、大まかな内容を掴むことが大切。まずは大きい文字で読むことで、ひと目でわかるという感覚を身につける。