卒業の使いすぎに違和感?
何かをやめることに「卒業」という言葉を使うことが普通になっています。よく耳にする例ではテレビ番組のキャスターが降板することを卒業といいますし、アイドルグループのメンバーが脱退することも卒業といいます。一般的には会社を退職することも卒業という言葉で片付けられることがあります。意味は通じますが、正しく使用できるのが大人の知識です。
実際には次のように使います。
〇〇卒業を正しく表現する語彙
●テレビ番組を降板する
●プロ野球チームを退団する
●プロスポーツ選手を引退する
●アイドルグループを脱退する
●上級の国家公務員を退官する
●大学の教授が退官する
●市役所の公務員を退職する
●会社を退職する
●会社の役員を退任する
●自衛隊を退役する(軍の将校、准士官などが兵役を退くこと)
●飲食店を廃業する
●趣味をやめる(手を引く)
●夫婦は離婚または別居(卒婚という言葉がある)
●友達を解消する
●営業部から人事部へ異動する
●学校を退学する(卒業しない場合)
●職場を放棄する
●町内会の青年部をやめて成人部に移る
違和感がある卒業の使い方
円満や任期などで卒業をつかうのは、喜ばしいことですが、不祥事などでやめることにも卒業という言葉が使われることがあります。そうした際に卒業が使われると違和感があります。
●不倫をした俳優が番組を降板した
●不祥事を起こした社長が卒業した
●問題を起こした役員の卒業
●コロナで飲食店経営を卒業した
最後のコロナで飲食店経営を卒業したは、かわいそうな気もしますが、やはり卒業という言葉は、一定の成果を出したあとの場合に使いたいものです。
卒業という言葉が使われ始めたのはテレビ番組 ?
いうまでもなく、卒業とはその学校の全過程を学び終えて、卒業証書を授与されることで卒業となります。
テレビ番組でレギュラーが番組を降板することを卒業と言い出したのはインターネットで検索すると1983年から1991年に放映されたオールナイトフジの中でレギュラーメンバーのオールナイターズが番組を降板する際に使っていたという記述があります。
「卒」が使われている他の言葉の例
確かに卒業という言葉を使うとオブラートに包むようで悲壮感でません。やめることも円満であったとのイメージになります。
最近では、卒婚という言葉も使われています。これは戸籍上の関係は残したまま互いに自由に生活することで。他にも卒煙(タバコをやめること)、卒甘(かわいらしい服装をやめて女らしい服装にする)卒母(子離れ)などがネット上で見られます。
活という言葉も転用がなされていますね。就活、終活、妊活、婚活などです。
これからますます卒という文字が、何かをやめる際に転用されそうですし、あたらしい熟語が登場することでしょう。