大志とは
大志とは遠大な志望を意味する言葉だ。社会を変革するような望みを持つことであり、個人の欲望を叶えることとは異なる。そのまま読めば大いなる志という意味だ。
志とはこの場合、心に決めた目標となる。具体的な目標だけでなく、抽象的な到達点を示す場合もある。社会のために役立つ仕事をする、多くの人を幸せにするなどである。
貧しい家庭に生まれ育った人物が、家族の幸せを願い、立身出世を目指す際にも志すという表現を使うことがある
少年(青年)よ大志を抱けには諸説あり
大志という言葉から連想されるのは、札幌農学校の初代教頭であったウィリアム・スミス・クラーク「William Smith Clark:1826~1886」(1876年に来日)が学生たちに残したとされる名言で「少年よ大志を抱け」と訳される語「Boys, be ambitious!」である。(www.weblio.jpより)
この言葉には続きがあるとさまざまなメディアで報じられてきた。有名なところでは、
“Boys, be ambitious! Be ambitious not for money or for selfish aggrandizement, not for that evanescent thing which men call fame. Be ambitious for the attainment of all that a man ought to be.”という説。また、“Boys, Be ambitious like this old man”という説もあります。
この2つは、考えてみると意味合いが真逆ともとれる。最初の言葉は「お金や名誉にとらわれず、大志を持つ」という意味だが、後者は「私のように野心家になれ」というもの。そもそもambitiousには成功・富・権力などを求めて大きな望みを持つという意味がある。Oxford Learner’s Dictionariesでambitiousを調べると以下の文言を示す。
determined to be successful(成功の決意), rich(金持ち), powerful(権力者)
a fiercely ambitious young manager(猛烈に野心的な若い経営者)
いずれにしても、その真意に近いのは北海道大学 附属図書館の“Boys, be ambitious!”についてが最も適切であろう。
言葉のニュアンスは野望に近い?
野望を英語で直訳するとambitionとなる。日本語の野望とは、身のほどを越えた大きな望みや望んではならない不届きな望みとある。非望とも表現する。これからするとambitiousの大志とは意訳ともとれないことはない。
しかし、英語は、それを使い雰囲気や状況で意味のニュアンスが異なるものだ。BOYsと呼びかけることで、大志の意味になるのだろう。また、野望が始まりであっても途中で大志に変化することはよくある。
大志を持つ意味とは?
大志とは、夢や希望に置き換えることができる。目標とも言えるだろう。目標を持つとそれ至るプロセスが明確になる。
プロセスがわかると日々やるべきことを具体的に落とし込める。プロセスには途中の目標がある。それをひとつひとつクリアしてゆけば、最終的にはゴールに到達できる。
もっともこれは理想論であることは確かだ。大志というからには、最初の目標さえ容易ではないだろう。しかし、目標とやるべきことが明確になっていれば、たとえ、失敗しても検証はできる。それによってやり方や目標を変更すれば、失敗も有益なものになるはずだ。
失敗することで見方が多様化することがある
失敗から学ぶことで、別の側面から物事をみることがある。知見の多様化である。それが、大志であるならなおさらであろう。
最初から金銭や自分の名誉など私的なことを目標にしていたなら、物の見方が自分に固定化されてしまい、多様性を失う危険性をはらみ、金銭、名誉どころか、何も得ることができないこともある。
流され大志がしぼんでしまう
人は、自分の思いを抱きながら、それにあった仕事を選ぶものだ。そのファーストステップが就職といえる。モチベーションが高く、新たなことに挑戦する社風であれば、個人の意思と合致するかもしれないが、そうでなかった場合、いつのまにか大志が別のことにすり替わってしまうことがある。
できないことを環境や他人のせいにして、気がつけば自己保身に走ることもあるだろう。人からさせらている意識に支配されるのだ。
大志があるなら「られっている」場合ではない
「られっている」とは人にさせらていると思い込む状態のことである。自戒の意味を込めて使う。「今日の私は、られっていたなあ」などと使うのである。やる気を失っている人に「最近の君は、られっているんじゃない?」と用いることもある。
同じことをするなら、させられていると思うより、自ら率先すべきである。自発、自律的な行動をとることで、新しいアイデアや行動が生まれるからだ。
そうした行動指針に変えることで、何気ないことの中にチャンスを見出せる能力を身につけることがある。また、思い立ったら、まずは行動してみることである。最初の一歩は、その方向を確かに決める。